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目が覚めたらそこはまた白い部屋だった。薄明るい蛍光灯の間接照明で部屋は照らされており(光源はどうやらベッドの下のようだ)、ベッドは部屋のど真ん中に位置しているため、何だか標本にでもなった気分だった。体中のあちこちを打っていて、かなり痛む。感覚的に随分と寝ていたようだが、体はガチガチで疲れは一切とれていなかった。眠気はもう無くなっていたが、頭はいまいち働いておらず、昨日の出来事を繰り返し再現するだけだった。
「アサ…」
どこから出てきたか分からないくらい小さな声が滲み出てきた。少しかすれたその声は、自分のものなのか疑うほどに弱々しかった。
ガチャリ。
ドアが開き、明かりが強められた。
「調子はどうだい?」
左藤、マゼンタ、そしてシアンが部屋に入ってきた。
左藤がドアを開けたままにし、シアンが真っ先にこちらにきた。マゼンタはいつも通り左藤の後ろに控える。
椅子どころかベッド以外何もない部屋なので(窓もない)、当然ながら私以外は皆立っていた。「調子は?」
今度はシアンがたずねた。
私は口を開きかけ、何か発しようとし、止めて口を閉じて首を横に振った。今は何もしたくない。話すどころか、思考を放棄したい。
「やよいというのは?」
私は答えない。
「アサ君」
俯いていた顔を左藤とは反対側にそらす。
「アサ君?」
「その名で呼ばないで!」
早い限界だった。
「アサはいない…。アサじゃない。私はっ、アサじゃないんだ。」
シーツを握りしめ、顔を覆った。黄色の髪が真っ白なベッドの上で一際目だっていて、大きな目玉焼きが出来上がっていた。
「わかった」
ポンと頭に重みがかかった。固くて、人より随分重い、シアンの手だった。温度のない硬い感触なのに、何か懐かしさがあった。
「後で聞く」
それだけ言って去ろうとする。
手が離れると、急に心細くなった。後でなら、話せるだろうか。今は、話せないだろうか。自分に問う。
マゼンタ、左藤、最後にシアンが出ていく。左藤がドアを閉めようとし、(ドアノブがある普通のドアをシアンやマゼンタ達は閉めることができない)締め切る前の一瞬、私はようやく一言だけ発することができた。
「私が、やよいなんだ。」
「アサ…」
どこから出てきたか分からないくらい小さな声が滲み出てきた。少しかすれたその声は、自分のものなのか疑うほどに弱々しかった。
ガチャリ。
ドアが開き、明かりが強められた。
「調子はどうだい?」
左藤、マゼンタ、そしてシアンが部屋に入ってきた。
左藤がドアを開けたままにし、シアンが真っ先にこちらにきた。マゼンタはいつも通り左藤の後ろに控える。
椅子どころかベッド以外何もない部屋なので(窓もない)、当然ながら私以外は皆立っていた。「調子は?」
今度はシアンがたずねた。
私は口を開きかけ、何か発しようとし、止めて口を閉じて首を横に振った。今は何もしたくない。話すどころか、思考を放棄したい。
「やよいというのは?」
私は答えない。
「アサ君」
俯いていた顔を左藤とは反対側にそらす。
「アサ君?」
「その名で呼ばないで!」
早い限界だった。
「アサはいない…。アサじゃない。私はっ、アサじゃないんだ。」
シーツを握りしめ、顔を覆った。黄色の髪が真っ白なベッドの上で一際目だっていて、大きな目玉焼きが出来上がっていた。
「わかった」
ポンと頭に重みがかかった。固くて、人より随分重い、シアンの手だった。温度のない硬い感触なのに、何か懐かしさがあった。
「後で聞く」
それだけ言って去ろうとする。
手が離れると、急に心細くなった。後でなら、話せるだろうか。今は、話せないだろうか。自分に問う。
マゼンタ、左藤、最後にシアンが出ていく。左藤がドアを閉めようとし、(ドアノブがある普通のドアをシアンやマゼンタ達は閉めることができない)締め切る前の一瞬、私はようやく一言だけ発することができた。
「私が、やよいなんだ。」
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